フランス生産者訪問記
 2025
年7月にフランス各地の生産者を訪れました。訪れたのはシャンパーニュ、シャブリ、ブルゴーニュ(ボーヌ)、ボージョレ、ジュラ、アルザスとぐるっと一回り。

 生産者さんの話を聞きながらの試飲はまさしく極上のひと時で、毎日が楽しくあっという間に過ぎていきました。栽培や醸造に関する考え方や実践方法は、その土地、気候、歴史、さらには将来への想いによって様々だと痛感しました。この訪問記で少しでもその想いをお伝えできたらいいなと思います。


アルザス ≪ドメーヌ・ミュラー・ケベルレ≫

 アルザスにやってきました。フランスの北東部、ドイツとは目と鼻の先で、南北170km、東西50kmの細長い帯状のエリアです。パリからはTGVで2時間弱の距離で、中世の街並みや木組みの建物と、窓辺に飾られる花々の美しさが観光客にも大人気のエリアです。

アルザス一軒目はドメーヌ・ミュラー・ケベルレ。

以下輸入元の野村ユニソンさんの紹介文です。

「ストラスブールとコルマールの中間に位置する街、セレスタ郊外にあるサン イポリットでワイン造りを行っているドメーヌ ミューラー ケベルレは、1961年に設立された家族経営のドメーヌです。現在は4代目のダヴィッド ケベルレが27haの畑を引き継ぎ、伝統とナチュラルな手法を融合させ、ワイン造りを行っています。」

 

 実は私が個人的に大好きな生産者さんの一人です。特に醸した白は魅力に溢れ、“今”のワインの最先端を走っていると感じています。エチケットはかなり刺激的で友人のタトゥー彫師によるデザイン。エチケットで好き嫌いが分かれてしまうかもとちょっと危惧してまうほど。このあたりは当主、ダヴィット(36歳)の若い感覚のなせる業ですかね。

 

さて、ドメーヌはアルザスの伝統的建築様式、コロンバージュ(木組みの建築)のかわいらしい建物です。入り口にはワイン造りを表した、大きな木彫りのオブジェが置いてあります。歴史を感じます。

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早速テイスティングルームに通されました。きれいなディスプレイとカウンターあるのお部屋です。
見学者がちょくちょく来るのかなと思ってたところ、後で分かったのですが、お母様がこの建物内でツーリスト向けに宿泊を受け入れていらっしゃるようです。


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2022年は暑く、2023年はアルザスらしい涼しい年でした

スタッフの方により試飲をスタートです。

ミュラー・ケベルレの白はほとんど醸しをしております。いわゆるオレンジワインですね。
白のアイテムは少々で、ペティアンと赤も造っております。

①    シュロスレーヴェン(お屋敷に木が絡まるラベル) 2023

リースリング、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネール。

花崗岩土壌。全房で3日間マセラシオン。
ミュスカとゲヴュルツで一番アロマティックなワイン。加えてリースリングのミネラル感。

とてもアロマティックです。質の良い酸味。ドライな仕上がりに塩味もあります。
最後にちょっと感じる苦み。

 

②    サンボワーズ(ワイングラスから木が生えてるようなラベル) 2023

3haの畑に混植している、オーセロワ、ゲヴュルツ、ミュスカ、ピノブラン、ピノグリ、リースリングからのワイン。6日間のマセラシオン。
2023年は暑くない年だったのでフレッシュで生き生きしたワインになった。

酸は控えめ、果実も控えめながら、味わいに厚みを感じます。少しスパイシーな感じもあり。

とても口当たりの良いワインです。

③    ルナール(オオカミラベル) 2022

ゲヴュルツ。全房発酵。1週間のマセラシオン。大樽一年熟成。ケベルレでは長い熟成です。

全房発酵からの青いニュアンスが暑い年のワインにいい効果になった。

ライチの香りが華やかで溌溂としたオレンジの香りもあります。ほんのり甘酸っぱい。
フェノリック。アフターに苦味が少しあります。

④    キャトルエル4L(車に乗るうさぎのラベル)白。2024

アルザス7品種入り。混植ではなくアッサンブラージュしました。ダイレクトプレス。

フレッシュな香りです。キレがある酸味ですが強くなく、スッキリしていてシャープな味わい。

柑橘系果実をミックスしたイメージです。爽快!

⑤    ガイス(角がくるくるしたヤギ?のラベル) 2023

ピノノワール。全房発酵。1週間のマセラシオン。2023年はアルザスらしい涼しい年でした。

フランボワーズの香り。出汁のような旨味と塩味を感じます。酸のボリュームあるので。しっかりとまとまった味わいのワインです。

⑥    ランゲンベルグ ピノグリ (恐竜ラベル)2020

ランゲンベルグ(長い丘)地区。ジュラ紀の土壌。ピノグリ。

昔ながらのつくり。1週間のマセラシオン。2年間樽熟成で補酒をしていません。15~20年は熟成します。

少しオレンジがかったルビーレッド。少々枯れたニュアンスがあります。妖艶で艶っぽさがあります。15%の高Alcを感じさせない滑らかさが素晴らしい。タンニン充分。

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(写真)ランゲンベルグの畑

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(写真)4代目当主のダヴィッド ケベルレ氏

樹液の流れを最大限に生かす

 

ダヴィッドさんがカーヴから車で5分くらいのところにある、ランゲンベルクの畑を案内してくれました。テイスティングルームの奥からさっと出てきて、挨拶もそこそこに駐車場へ誘導してくれましたが、どうもかなりシャイなのではないかな?

アルザスは、ヴォージュ山脈の古い地層がプレートの隆起や沈降で複雑な土壌構成になっています。

こちらの畑は南向きの急斜面で南風が乾燥をもたらす地形です。土壌は花崗岩の砂質。
不耕起栽培を行っていて、化学肥料は一切使用していません。ビオディナミを実践しているので、調合剤をまいています。水晶は太陽の力を取り入れ、ぶどうの余計な水分を飛ばしてくれて病気になりにくい効果があると考えています。

ゲヴュルツトラミネール、リースリング、ピノノワール、ピノグリを植えていて、それぞれの品種に適した栽培方法を細かく取り入れています。樹液の流れを最大活かすことを考えていて、枝を輪のように伸ばす(初めて見ました)、樹を高く伸ばす、葉を大きく育てるなどなど、各品種をめぐりながら丁寧に説明してくれました。クリスチャン・ビネールの主宰するピルエットグループでの勉強がブドウ栽培に生かされているのではないかと思いました。

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 (写真)ゲヴュルツは枝を長く育てるとブドウの質が向上する。くるりと巻いた枝。


カーヴに戻ると、お母さんや従業員さん達と共にランチタイムになりました。明日から夏のバカンスに入るということで、皆さんリラックスムードです。8種類ほど日本未輸入のワインを頂きながら、お食事を楽しみました。



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(写真右)9月新入荷のバウムラワは買いぶどうからのコスパ抜群のワイン

「自分たちは若い世代なので、毎年違うものを造る(挑戦する)ことが大事だと考えている」と話されていましたが、エチケットの印象とは裏腹に、経験豊富な先達に教えを請い、勉強してぶどう栽培に取り組む姿は職人気質であり、造られるワインからは彼の抜群のセンスを感じられます。
これからの時代を切り開くであろう若手生産者さんに会えて、素晴らしい訪問となりました。