フランス生産者訪問記
2025年7月にフランス各地の生産者を訪れました。訪れたのはシャンパーニュ、シャブリ、ブルゴーニュ(ボーヌ)、ボージョレ、ジュラ、アルザスとぐるっと一回り。
生産者さんの話を聞きながらの試飲はまさしく極上のひと時で、毎日が楽しくあっという間に過ぎていきました。栽培や醸造に関する考え方や実践方法は、その土地、気候、歴史、さらには将来への想いによって様々だと痛感しました。この訪問記で少しでもその想いをお伝えできたらいいなと思います。
ブルゴーニュ ≪ドメーヌ・ドゥラン≫
宿泊地ボーヌから南へ20Kmのサントーバン村にあるドメーヌ・ドゥランへ参りました。
サントーバン村はピュリニー・モンラッシェやシャサーニュ・モンラッシェに隣接する白ワインが多く造られる産地です。
こちらドメーヌ・ドゥランは前オーナーのドミニク・ドゥラン氏が1987年にスタートさせ、素晴らしいナチュラルワインを手掛けておりましたが、氏の引退にあたり、長年ともにワイン造りを行っていたジュリアン・アルタベール氏が2017年に栽培から醸造まですべてを承継し現在に至ります。
私の注目はアリゴテ。果実味溢れるスタイルは掛け値なしに美味しいです。
ジュリアン・アルタベールさんは終始笑顔のフレンドリーな方。大柄な体ながら樽の間をすり抜けて、カーヴの中を案内してくれました。
(写真)ジュリアン・アルタベール氏
まずは醸造についてのお話しを伺いました。
赤はトロンコニックの発酵槽を使用。サイズは大小いくつかあり収穫量に応じて使い分けています。除梗は一部のみでほぼ全房発酵です。温度を感じながら足でピジャージュを行います。小学生の娘がピジャージュを手伝うと軽くて優しい抽出になってよい(笑)らしい。これは秘密だとか。15日間から3週間のマセレーションをこの中で行います。
白はファイバー製のタンクで、36時間デブルバージュし澱を落とします。その後プレスし樽発酵、樽熟成。温度管理はデブルバージュの時のみで、他はほぼ手を入れません。澱引きは1回行います。
(※この後、試飲しながらそれぞれのワインについてコメントがなされていきますので、以下私のメモの羅列になりますがお許しください。また、2024年はバレルからの試飲になります。)
① アリゴテ 2024
発酵中。トロっとオイル化しているが発酵過程で見られる現象で、これは消える。
アリゴテは酸が高いので熟度があれば良いワインができる
樹齢の高いアリゴテを遅摘みにして、収穫量も落とすことで以前とは味わいが違う。
2018年の他の区画より1か月遅く収穫したものは、4年間樽熟成させたものもある。
2024年は雨が多く、ベト病で赤は収量が減った。20hl/haくらい。白は結構穫れた。
② ブルゴーニュブラン ランドレー 2024
ピュリニー村にある3区画の畑の一つ。白い粘土質。石灰岩が風化して粘土になっている。
③ コルヴェ オ モワアンヌ 2024
まだ勤めていた2014年に植えたシャルドネ90%とピノブラン10%。
ピノブランが丸みやバターのような風味を与えてくれる。
タンク発酵、タンク熟成。このキュヴェとアレルトンというキュヴェはタンクのみ。
④
ブルゴーニュ ラ コンブ 2024
1980年代ピュリニー村にドミニク・ドゥランが植えたシャルドネ。
アロマティック。甘いアタック。発酵中。
ふた冬熟成。長くすると安定する。
⑤
サントーバン白2024
石灰岩質。涼しくて酸が出た2021年とスタイル似ている。
収穫時期に雨が降り、少し収穫しては休みをしているうちに、熟度が上がってきてしまい、最後は一気に収穫することになった。
以前は5月くらいには収穫者を集めることができた。というのは開花から100~120日で収穫の予想ができ、気候が今より暑くなかったので、9~10月で日も短くなって涼しいから1日、2日収穫がずれても問題なかった。でも今は8月末から9月上旬に収穫するので暑い。そうすると1日、2日収穫がずれるとalcにして2度3度変わってしまう。なので早くからは収穫日を決められない。余裕がなくなってしまった。収穫には35人は必要なので困っている。
⑥
サントーバン 1erコンボッシュトゥ 2024
サントーバンの4つの1erクリュの一つ。サシャーニュモンラッシェに近い方。赤い土が特徴。
⑦
サントーバン 1erソンティエル 2024
丘の傾斜が一番きつい南向きの畑。粘土石灰質。
周りが収穫をしている時だが、雨が降ったので待った。幸い3日後に晴れて風も吹き乾燥して、熟度のあるぶどうを収穫できた。
1983年にドミニク(前オーナー)が植えたモンラッシェの近くの畑。南向き。石が多くて誰も植えていなかった区画をドミニクが開墾。
⑨
サントーバン 1erクリュ ミュルジェ・ダン・デ・シャン 2024
すごい還元香。還元状態であるということは酸化していないということ。発酵のひとつのフェーズ。長期熟成する可能性。
「還元は樽の中にあって、ボトルの中にあって、ワインの値段の中にはない」(笑)
⑩
サントーバン 1erクリュ ミュルジェ・ダン・デ・シャン 2023
トップキュヴェ。瓶詰後2年瓶熟成。23年は暑い年。
(以下赤ワインに移ります)
⑪
メルキュレイ 赤 2024
樹齢100年。
12aしかない区画。ひと樽のみ。
⑬
ジュヴレシャンベルタン 2024
⑭
ジュヴレシャンベルタン 2023
早めの収穫。
⑮
ブルゴーニュ レリオー 2023
ピュリニー村の下の区画。
⑯
サントーバン ルバン 2023
一番広い面積で南向きの区画。日照量か多く、熟度が高くなる。12.5%。
⑰ サントーバン 1er ルプィ赤 2023
黒系の小さい果実を煮詰めたキュートさ。ふくよかかつエレガントさ。
⑱
アリゴテ 2023
高い樹齢の遅摘み。18か月樽熟。
⑲
コルヴェ オ モワアンヌ 2024
タンク発酵、タンク熟成。
⑳
ブルゴーニュ ランドレ 2023
清々しさ、みずみずしさ。ミント、ハーブ。酸が高い。
21.
サントーバン 白 2023
13.5%。アタックに甘さと酸化した青りんご。
22.
サントーバン 1erクリュ オン・レミリィ 2024
はちみつのようなふくよかさ。厚みを感じる。ミルフィーユのような重層的な味。
23. セクストン 白 2018
アリゴテの買いぶどうから遊び心のワイン。
こうやって2023年と2024年を飲んでみると、明らかにワインのボリュームに違いを感じ取ることができました。2023年は暑く、2024年は雨やベト病の影響もあり難しい年であったと。
近年、温暖化の影響をかなり受けているようです。
また、ジュリアン・アルタベールさんの親しみあるお人柄もワインに表現されているんだなぁと思いました。やっぱり生産者さんにお会いすると、ワインをますます好きになってしまいますね。


コメント