日本はもとよりフランスでもレアなワインで、一部のナチュールワイン愛好家のみが知る存在のダニエル・サージュ。多キュベ少ロット生産がその理由の一つかもしれません。(前回入荷した時はそれぞれ1ケースにも満たないガメイが5種類にシラーやルーサンヌという本数、分けていただけるだけ有難いというワインです。)DSCF0548


P1090521
物静かでとてもエレガント、でもちょっと要領の悪そうな天然キャラのダニエル、「ワインが好きで好きでたまらないから、自分で造ることにした」というインポーター情報通り、ピュアなワインオタクです。(ホメてます!)
試飲させては「これはどう思う?」とか「この残糖気になる?」などと素直に感想を求めてきます。大御所の造り手にはないダニエルの対応に、とても親しみを覚えました。

P1090505
山奥の標高700mにあるカーヴは20世紀初頭繊維工場跡。(秘密のアジトのような雰囲気と広さで本人も気に入っていたのに、所有者と揉めて近いうちに引っ越さなければならないらしい。)

カーヴの中はキューブや古樽が雑然と並び、その間をホースがくねくね。作業台のレイアウトも微妙で正直作業効率悪そう・・・。全てを一人で行っているので作業を進めてるうちにだんだんと動線が崩れてしまったのかなと思われます(笑)。

DSCF0535
本人は何がどこにあるかわかっているけれど、はたから見れば結構雑然としたカーヴ

樽ごとの個性を大切にしたいので、アッサンブラージュはしたくない主義。よって樽の数だけキュベが増えることとなります。「自分はsepareteur(セパレートする人の造語)だよ」と冗談をいっていましたが、正直酒屋泣かせ・・・。(毎年同じキュベを造るつもりもないようです。)

納得の味を求めてブレンドでワインを造っていくフィリップ・ジャンボンとは反対のスタイル。人それぞれ表現したいコト・モノがあって、その方法もそれぞれです。 


P1090565
カーヴでの試飲のあと近所のレストラン(山奥のビストロ)で一緒にランチをいただきました。そこのマダムがダニエルに興味持ったようでで「どんなワイン造ってるのか飲ませて」とやってきました。ダニエルはもちろん!と言って「じゃあペティヤンから」と、濁ってほとんど泡の無い液体をマダムのグラスに。
マダムは液体を見ただけでドン引き・・・、予想通りの展開です(苦笑)加えてローヌエリアなのにガメイやピノグリを植えていることに「???」ダニエルが熱心に説明すればするほど「全く理解不能」といった表情になってしまいました。
P1090569
マダムの反応を気にも留めず、自分のワインと畑を語るピュアな男

田舎の年配の人々の反応なんて大方こんな感じようで、ダニエル自身は全く気にしていません。フランス人は意外と保守的なので地元でウケなくても、美味しいと言ってくれる人が飲んでくれたらそれでいいよと言っていました。自分もお客さんにネガティブな反応をされても、いちいち気にしないようにしなければ ^^; ダニエルの真っ直ぐな姿勢に勇気を頂いてしまいました。
そういえば昨年来日したレスカルポレットのイヴォも言っていました
「Ne met jamais de l'eau dans son vin !」と。フランス語の慣用句にmettre de l'eau dans son vin(態度を和らげる)というのがあるそうなのですが、イヴォはそれを否定形にアレンジして「態度を決して変えるな!(=初心を貫き、信じた道を進め!)」というメッセージを残してくれたのでした。

ナチュラルワインに対して否定的な態度を取る人のほうが断然多い中で、己のスタイルを貫き通すのは確固たるものを内に持ち続けなければ難しいことでしょう。ワインの美味しさの中には、造り手のスピリッツが込められていると感じずにはいられません。素敵なワインを取り扱いできることに改めて感謝、次回の入荷を楽しみに待ちたいと思います。
DSCF0551
ダニエルには梶田さんの醤油と大手メーカーの醤油を渡して、「比べてみてね」と