こんにちは。スタッフ沼田です。 
先月、遅めの冬休みをいただいたのでサンフランシスコに旅行がてら、当店イチオシ中の生産者、ブロック・セラーズを訪問してきました。

ブロック・セラーズは サンフランシスコの対岸、カリフォルニア大学のバークレー校や有名なレストラン、シェ・パニーズがあるバークレーという街にあるアーバンワイナリーで
畑は持たず、ビオディナミやビオロジック栽培を実行している優良なブドウ農家からブドウを買い、ワインを醸造しています。最近ではニューヨークタイムズにも紹介されたそうで、今注目の生産者の一人です。
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今回はサンフランシスコの中心部からバートという高速鉄道で最寄り駅のNORTH BERKELEY(ノース・バークレー)という駅で降り、バークレーの街をぶらぶらしながら歩いてワイナリーまで行きました。
途中には地元でも人気のお洒落なカフェや有名なパン屋さんもあります。
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ワイナリーまでは駅から徒歩30分弱。カラフルな色使いのお家が並ぶ住宅街を抜け、日本の国道沿いのような、飲食店やお店が建ち並ぶ大通り沿いを暫く進むと・・・
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壁に“Broc”と書かれた建物が見えてきます。
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少し緊張しながら重たい鐵扉をノックするも中々気づいてもらえず・・・(笑)
何度かノックすると、オーナーのクリス・ブロックウェイさんが素敵な笑顔で出迎えてくれました。
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はじめましての挨拶もそこそこに、日本で初めて彼のワインを飲んだ時の衝撃と感動を興奮気味に伝えると
早速試飲をさせてくれたクリスさん。
まずは最近フジキにも入荷した白の“ピクプール”から。
ピクプールと言えばラングドックが有名で、シャトー・ヌフ・デュ・パプの品種のひとつでもあります。
酸が強く、地元では牡蠣などと一緒の飲まれているデイリークラスのワインが主流ですが、彼の造るピクプールは対照的で酸がやわらかく、洋梨や青リンゴ、アプリコットのような華やかでエキゾチックな香りと果実味を感じられます。
カリフォルニアのピクプールはラングドックとは逆で酸は低めで、ふくよかな味わいのブドウに育つそうです。
また、“エッグ”(フランスでは“ウフ”)と呼ばれる最近ナチュール生産者に人気の卵形のコンクリートタンクで発酵させることでフレッシュさも備わった味わいに仕上がるんだとか。
ですが、ピクプールが植えられている畑は少なく2014年ヴィンテージはエッグ一基分しか造れなかったそうです。
アメリカにピクプールが植わっていたことも驚きですが、本家のピクプールとは全く違う個性を持っていて面白いです。
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続いて、ジンファンデルから造られたロゼワイン “White Zinfandel”をテイスティング。こちらはまだ日本未入荷のようです。
綺麗なザクロ色でイチゴやラズベリー、グレナデンシロップのような甘い香りが広がります。
味わいは香りの印象よりドライで赤いフルーツの果実味以外にもスパイシーさもあり、幅広い食事とも合わせやすそう。
さらに、こちらも日本未入荷の樹齢100年のグルナッシュ100%の赤ワインもテイスティングさせていただきました。
開けたてから赤いフルーツのコンフィチュールやスパイスの香りが立ち上ります。時間と共に茶葉のような香りも出てきて、フジキスタッフの好きなタイプの香りです。
果実味もぎゅっと凝縮されていて、ブドウの持つエネルギーを感じます。

ブロックセラーズのワインは和食とも相性がいいと伝えたところ、クリスさんも日本食はお好きだそうで、バークレーやにある日本食レストランやオークランドにある「UMAMI MARKET」という日本の食文化をテーマにしたお店のお話、1年前に来日した時に行ったお店のお話などもしてくださり、盛り上がりました。

ワインの原料となるブドウはソノマやナパ、メンドシーノ、さらにはオレゴンの方までご自身自ら車で運んでくるそうです。オレゴンまでは往復で8時間近くかかるそう。さすがアメリカ!
腐敗の心配はないかと尋ねたら、夜に収穫して、早朝にワイナリーに到着するのでブドウは低温を保ったままだから大丈夫だということです。
足で踏むと凍ってしまいそうなくらい冷たいと仰っていました。

その後、ワイナリーの中を一通り案内していただきながらお話を伺っていると、なんとヴァルディギエからマクヴァンタイプの甘口ワインを造っているとか!
「飲んでみる?」と聞かれたので、即答で「Yes!」と。
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タンクから直接注いでくれました。
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透明感のある濃いめのルビー色がきれいです。
ドライクランベリーやフランボワーズやイチゴのリキュール、アニスやクローブなどのスパイスの風味も感じます。
べったりした甘さではなく、酸やほのかにタンニンも感じられ、こんなワインが食後に出てきたら嬉しいだろうな~と思いながら飲ませていただきました。
近いうちに日本にも入ってくるかもしれないそうなので、フジキにも入れてもらおうと思います。

さらにはペティアンタイプのワインも造っていました!こちらは瓶詰直後だったので試飲はできませんでしたが、日本に入ってくるのを楽しみに待ちたいと思います。
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ワイナリーの中はさすが西海岸!と思うほどとてもお洒落で、清潔です。
必要なものが必要な分だけコンパクトにまとめられているといった感じです。
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ブロックのエチケットも描いているご友人の方の絵も飾られていたりと、まるでギャラリーの様です。
週末などにはここでテイスティングやイベントなども行っているそうです。
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クリスさんはとっても優しい方で、私の拙い英語に耳を傾けてくださり、ゆっくりお話してくれ、質問にも真摯に答えてくれました。

ジュラワインも大好きなようでガヌヴァやキャヴァロドといった生産者のワインを嬉しそうに見せてくれました。
ブロックのワインが飲めるサンフランシスコのおすすめのお店を尋ねたところ、“Terrois"というお店が最高だよと教えてくださいました。
旅行中に行ってみたのですが、残念ながらお休みで入れませんでしたが、ウィンドウには見覚えのあるヴァン・ナチュールの数々が並んでいて思わずにやにやしてしまいました。
今度サンフランシスコに行くことがあったら真っ先に行こうと思います。
因みに、翌日行った、今サンフランシスコで最も予約のとれないレストラン、“Nopa”にはブロックのワインがオンリストされていました!

1時間の予定が30分もオーバーしてしまったほど楽しいひと時。
クリスさんの笑顔と優しさにあったかい気持ちになるとともに、益々ブロックセラーズが好きになりました。
再会を約束し、名残り惜しくもワイナリーを後にしました。

カリフォルニアのナチュラルワインは今、成長段階ですが、確実に増えてきているそうです。
実はその昔、ヨーロッパから持ち込まれた古い品種も残っており、昔ながらの造りをしている農家も少ないながらもいるそうです。
ブロックを訪れた2日後にナパとソノマのワイナリーツアーに参加し、畑を見てきましたが、意外にも菜の花や雑草が生い茂る畑が多かったのに驚きました。
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クリスさんはナパやソノマのワイナリーにもご友人は多く、地元の農家さんとも信頼関係を気付くことで、質のいいブドウが手に入れられているそうです。
オーガニックへの関心が高いアメリカ。確かに、バークレーにあったスーパーでも見たことのあるナチュール生産者のエチケットが並んでいました。
今後、ブロックセラーズのようなワイナリーが増えると思うと、これからのカリフォルニアワインから目が離せなくなりそうです。

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